事業の概要
弊社は、北海道所在のニュートン・グラフィック社と協業で、オープンソースのDICOM ViewerソフトであるOsiriX(アップル製PC版のみのソフト)とDICOM Serverソフトのdcm4chee(アップル製サーバーOS版、Linux版があります)を活用して、施設様に低コストで柔軟性の高いPACS構築を致します。
弊社の位置づけは、ニュートン・グラフィックス社の東京支店の役割であり、関東地区でのデモ実演、システムの設定、アフターサポートを実施致します。
医療機関の場合、OsiriXを活用している先の多くは、OsiriXを活用したPACS構築の圧倒的な低コスト、DICOM通信接続設定の容易性・柔軟性、QR(Query&Retrieve)機能の柔軟性に価値を見出しているようです。他の大手メーカーのPACSの場合、他システムとのQR機能に制限を設けて、相互接続が実質できないような仕様になっているものや、相互接続するためには高額なオプションを購入しなくてはならない場合が多いです。
OsiriX自体が持つ簡易サーバー機能を使ったり、OsiriX専用のサーバーdcm4cheeを活用したPACSであれば、サーバーとクライアント端末とのDICOM通信接続は、全て病院内スタッフで自由に接続が可能であるために、接続にかかる費用は一切かかりません。OsiriXを活用したPACS構築では、接続ライセンスは不要なために極めて安価にシステムを構築することができます。
高額な画像診断装置であるMRI装置やCT装置を導入する中小規模の病院、クリニックにおいて、PACSの購入は病院経営の資金繰りに大きな影響を与えます。撮影件数がそれほど多くない医療機関の中には、高額で本格的なDICOMサーバーを用いたPACS構築は経営の視点から困難である場合が多いと想定します
表: 中小医療機関の病院経営視点でのOsiriXを活用したPACSと他メーカーのPACSの比較
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OsiriX事例紹介①
東京都中野区R医院での導入・運用事例を紹介します。
フィルム読影からフィルムレス運営のPACSへの移行の際、OsiriXをフル活用した東京都中野区のR医院のPACS構築の事例を紹介します。同施設では、1階部分の診察室3部屋、CT操作室、2階部分の面談室1部屋の、合計5台のOsiriX端末が設置されています。接続されているモダリティは、CT装置、CR装置、骨密度測定装置の3台であり、将来的にはMR装置の導入も検討しています。 R医院におけるPACS導入は次の3段階を踏み、現在に至ります。
<ステップ①: OsiriXクライアント端末1台のみの初期段階>
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<ステップ②: OsiriXの簡易サーバー機能を用いた網の目上ネットワークの段階>
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<ステップ③: OsiriX専用のDICOMサーバーを用いた本格PACS構築段階>
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上表のステップ①の段階は、CT装置1台と診察室にあるOsiriX端末を接続する簡素な形態でした。この場合、CT装置からの一方通行のDICOM Storage通信のみでした。
ステップ②では、3つの診察室、1つの相談室、CT操作室にそれぞれ5台のOsiriX端末を設置しました。ここではOsiriXの持つ簡易サーバー機能をフル活用した仕組みとなっています。CT装置から、全てのOsiriX端末に一方通行のDICOM Storage通信を行い、それぞれの端末に全く同じデータ格納を行いました。しかし、ここでは、CT操作コンソールPCから各OsiriX端末に複数回に渡ってDICOM Storage通信を行う必要があり、業務効率が悪くなります。そのため、CT操作コンソールPCからのそれぞれのOsiriX端末への送信作業を取りやめ、主体となる診察室1や3の端末への送信を行い、それ以外の端末はこの診察室1あるいは3のOsiriX端末にQRをかけて、必要なDICOM画像を入手することにしました。しかし、この場合であっても、CT操作コンソールPCから診察室1にDICOM Storage通信をしている最中に、通信が途切れしまうことがありました。OsiriXの簡易サーバー機能はあくまで簡易レベルであるため、複数の通信が同じ端末に集中したり、3D画像解析の最中に他の端末からQRをかけられたり、大容量のDICOM画像が送信されたりすると、通信が途切れてしまうリスクがあります。従って、OsiriX専用のDICOMサーバーの採用を検討することになりました。
ステップ③は、同医院での現在の状況を示したものです。DICOM通信接続するモダリティは、CT装置以外にもCR装置、骨密度測定装置も加わって計3台となりました。さらに、大容量データ通信、双方通信にも耐えられるように、オープンソースのOsiriX専用のDICOMサーバーをCT操作室に設置しました。ここでもOsiriXの簡易サーバー機能が活躍します。万が一、操作室のDICOMサーバーが故障しても、院内の画像診断業務がストップしてしまう状況を避けるために、モダリティからは診察室1のOsiriXにバックアップ送信できるようにしています。基本的にはDICOMサーバーにデータは格納されますが、緊急の支障時にも、診察室1のOsiriX端末にデータを格納し、各端末から診察室1のOsiriX端末にQRが掛けられ、画像診断が出来るようにしています。DICOM通信接続がメーカーのサービス担当部門の管理者権限でしか接続できない他のシステムではこのような構築は難しいです。柔軟なネットワーク構成が可能なOsiriXならではの特性を十分に生かしたものと言えます。OsiriXでは、各端末に簡易サーバー機能があるために、ステップ③のような各端末同士での双方向のDICOM通信が容易です。
R医院では、一般診察の際、OsiriXを活用することで、画像診断結果の説明を従来のフィルム使用時よりもより詳細にわかりやすく行うことができるようになったと言います。同医院は治療難易度が高い癌患者の治療を重視しており、術前、術後の経過観測等をより精度高く行う必要があります。患者も精度の高い診断を同医院に期待しており、地域外の患者も遠方から多数来院します。そのような患者に必要に応じて3D化した診断画像を患者に見せて、細かく分かり易く説明することが多いようです。高度な3D画像表示や解析ができる専門のソフトは多く、操作が複雑でわかりにくいですが、OsiriXは、3Dボリュームレンダリングを瞬時に行うことができるので患者説明の際の貢献度は大きいと思われます。
患者1人当たり5~10分の時間しか無い地域の中小医療機関の一般診療においては、3D化操作の容易性、レンダリングのスピードが鍵となります。OsiriXはその役割を十分に担うことができると同医院では評価しており、診療にあたる各々の医師が患者に対してOsiriXをフル活用した説明が出来るように院内でトレーニング等も実施しています。
図: 3Dボリュームレンダリングは容易に操作可能
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OsiriX事例紹介②
福岡県のSリハビリテーション病院でのOsiriX活用の事例を紹介します。
同病院では、MR装置、CT装置、CR装置の他、内視鏡、エコー装置等のモダリティが導入されていますが、2011年6月まではフィルムによる読影に依存していました。同病院は、2010年よりフィルムレス運営の検討を行い、最終的にシステム構築コストの大幅削減が可能になるOsiriXをフル活用したシステム構成を選択しました。
表:Sリハビリテーション病院でのPACSの構成内容
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上表が示すように、同病院では、診察室6部屋に各1台の小計6台、医局に2台、放射線科に1台、情報管理室に1台の合計10台のOsiriXクライアント端末が設置されています。さらに、サーバー室にOsiriX専用サーバー(オープンソースのdcm4cheeで構築)が1台設置されています。DICOMサーバーの構成はDICOM画像とデータベースのデータ部分がRAID5形式の主ハードディスク(2TBの内臓HDDを4基積むRAID5形式/実質容量約5.6TB)、副ハードディスクに保管され、主ハードディスクに障害が生じた際は、主から副へ手動切替を行い、日々の読影業務に支障が無いように仕組みが構築されています。
さらに、放射線科のOsiriXクライアント端末で定期的にDVD-RAMディスクへのデータバックアップも実施しています。診断に必要な重要な画像データに関しては、主ハードディスク、副ハードディスク、DVD-RAMディスクへの3重保管体制となっています。現在のところ、DICOMサーバーに接続されているモダリティは、MR装置、CT装置、CR装置の3つであり、JPEG形式の内視鏡画像、エコー画像は、DICOM通信ではなく、OsiriXの機能を使い、手動でDICOMに変換してサーバーに取込んでいます。
モダリティ装置からの2系統のDICOM出力はSリハビリテーション病院でも実施されています。これはOsiriXが持つ簡易サーバー機能の利点を利用した方法です。情報管理サーバー室に設置されたDICOMサーバに支障が生じた場合でも、モダリティからの出力先を放射線科のOsiriXクライアント・バックアップ端末に一時的に変更することで、診察室、医局等からのQRに対応することが可能となります。殆どの医療施設では、モダリティからの出力は1系統であることが多く、DICOMサーバーに支障が生じた場合のバックアップシステムを構築するには多大な費用がかかることが多いです。OsiriXを活用すれば、極めて安価、簡単にバックアップシステムを構築することが可能です。同病院でのシステム構築は、構築の手順を情報管理担当責任者が独学で勉強し、大手システム会社に依存することなく実現しています。
今後、クライアント端末10~20台規模の中小医療施設において、システムにある程度習熟している担当者を中心にプロジェクトを組み、OsiriXを活用することで、同病院と同様に、極めて短期間において低コストのPACS構築を実現する施設が増えるだろうと推測します。
<Sリハビリテーション病院のOsiriX端末10台とDICOMサーバーdcm4chee 1台を用いたPACS構築事例>
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<発展するOsiriXの利用>
OsiriXのアドバンテージは、中小規模クラスを超えた大学病院等の医療施設で診断あるいは治療の品質の向上に大きく寄与しています。導入が容易なOsiriXを活用することで、自分達の診断、治療の品質向上に寄与する方法論を自ら生み出そうと努力しているのが特徴です。下記にその事例を紹介します。各施設共に、OsiriXを当初は実験的に導入し、その効果を検証した上で、徐々に活用度合いを高めていっています。他の大手メーカーの高価なシステムであれば、小さな花火を打ち上げながら、導入を効果を確かめ、少しづつ打ち上げる花火の規模を大きくしていくアプローチをとることは困難ですが、OsiriXであれば導入効果を確かめながら、徐々に運用方法を試行錯誤で改善し、大きな効果を生み出すことが可能と思われます。
表:OsiriX活用の事例
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<中小医療施設におけるOsiriXの今後の発展性>
導入が容易なOsiriXを活用することで、大規模医療施設では、診断・治療の品質を向上する目的を実現するための方法論確立のための試行錯誤が盛んになっていくものと推測します。中小医療施設では、これまでは高コストで実現できなかった課題の解決が、OsiriX活用で可能になるものと思われる。中小規模施設における幾つかの具体事例を紹介します。
iPad版OsiriXの活用 DICOM形式で格納された画像をOsiriXから、iPadに容易に送信することが可能です。例えば、従来、中小規模医療施設では、内視鏡検査において、検査中に過去画像の閲覧が困難でした。理由は内視鏡検査室に過去画像を参照するシステムを導入する場合、そのコストが多大であったためです。担当医は、過去画像の写真を持ちこむか、検査前に過去画像を閲覧し、記憶に留めながら検査するしか方法がありませんでした。しかしながら、OsiriXを活用することで、iPad版OsiriXに容易に過去画像を格納することができるようになったために、内視鏡検査時の過去画像の閲覧が極めて容易になりました。担当医は過去画像を参照しながら、リアルタイムでターゲットとしている現在の部位の状態を検査することが可能となりました。
内視鏡以外のDICOM画像も同様で、MR画像、CT画像、CR画像、エコー画像等はiPad版OsiriXで容易に取込むことができます。ベッドサイドの患者に画像で説明したり、画像を参照しながら治療を行う必要が急に生じた時等、フィルムの準備をすることなく、iPad版OsiriXで画像を参照できることは病院の業務体系を大きく変える契機になるものと想定します。なお、アップル製PCが標準で備えているVPN(Virtual Private Network)機能と並行して使うことで、iPad版OsiriXで、病院内だけでなく、病院外からもDICOM画像を容易に入手することが可能となりました。この機能は救急医療の業務体系を変えることにも寄与する可能性があります。
又、極端な話ですが、担当医が出張先の喫茶店から、iPad版OsiriXを使って、病院内のDICOMサーバーにアクセスし、コーヒーを飲みながら見たい画像を参照することも容易に出来ます。個人情報保護条のセキュリティーの課題はありますが、医療画像のハンドリングが極めて容易、気軽になったと言えるでしょう。
株式会社 三勢(サンセイ) 担当責任者:中川
<医療装置販売業、遠隔読影事業、システム・ネットワーク構築>
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